「125年の時を超えて・・・②」
2017/01/28 【Close up エスタシオン】 古賀野 正幸
世紀の大修理が始まって2か月目に入りました。
125年前に製造された、当時の最高水準の技術で
作られたピアノの測定が終わり、いよいよ修復作業に
入ります!
先ずはピアノの弦を外す作業なのですが
ピアノの弦の張力は、おおよそ20トンあり
1本1本慎重に外さないと、鋳鉄フレームが
割れたり、曲がったりと神経を使う作業!
初めて鋳鉄フレーム本体そのものを見る事が
出来ましたが、このフレームを125年前に
溶接など一切しないで鋳型で作る技術は改めて
すごい技術だったと思うのに十分です。
鋳鉄フレームを外して、作業する目的の一つに
響板の復元修理があります!
響板は車でたとえると、エンジン!
エンジンが傷んでいるとパワーが出ません・・
エスタシオン・デ・神戸にある、20年間
小さなメンテナンスは行ってきたのですが
フレームを外すと125年分の傷みが随所に
見られ、一番大変な作業が響板のひび割れでした。
ひび割れている箇所からは、音が漏れていたり
かすれたりしていたそうです・・・・
こちらの写真はひび割れた箇所に、同じ材木を使って埋め木を行い
丁寧にカンナで削っている写真。
このような復元修理が出来るのも、「当時のスタインウェイが本物の素材を
使って、丁寧に作り込んであるからこそできる」とマイスターの方は
おっしゃってました。
削り終わったあと、通常の修理は現在最も流通している
ウレタン系のニスを塗るそうなのですが、今回の復元修理では
本国で当時から使われている、ニスを調達して当時のままに
こだわった復元をしているとの事!
響板が修復できると次は、今回の最大の難関である
弦の張り直し作業!
復元修理はまだまだつづきます!
次は弦の張り替え作業、その作業も
ブログにアップしますね。